ニューヨークの幻

3個/日。17時間行動としてガム1個噛むのに1時間。起床・2時間・ガム・5時間・ガム・5時間・ガム・2時間・就寝のペース。ま、こんなものか。

「ゴースト ニューヨークの幻」という映画があった。デミ・ムーア出世作なはずだ。当時、デミーはショートカットで清純な女の子だった。今や元海軍特殊部隊、元FBIで元チャーリズエンジェルだが。タイタニック以前ではこれとプリティウーマンがハリウッド二大恋愛映画みたいな時期があった。これは泣ける映画だった。

親友に殺された男が幽霊になって復讐を果たし、恋人だった女を親友の毒牙から守る、という話だった。幽霊になった男は物にふれることが出来ない。親友が自分の恋人にちょっかい出しても殴れない。で、ある日地下鉄で別の幽霊に出会う。なんか名前があったかもしれないが、記憶ではなぜか「地下鉄ゴースト」となっている。多分、違うだろう。この地下鉄ゴーストは物に触れる方法、物を動かす方法を知っていた。男は彼から物を動かす方法を習う。これさえあれば恋人に真実を知らせられる、親友をぶっとばすことができる。男にとって地下鉄ゴーストはルーク・スカイウォーカーにとってのヨーダあるいはオビワン・ケノービ、矢吹ジョウにとっての丹下段平、とにかくあの時点では全能の師といっていい。男は床に落ちていた王冠(リングプルだったかも)を相手に苦闘する。

その全能の師にしても成し得ないことがあった。彼はタバコの自販機を叩き壊し、散らばったタバコの箱を震える手で抱えるようにして呻く。
「おお、一服つけてえ・・・」

そして通り過ぎる地下鉄の車両に飛び乗って男の前から消える。彼はタバコが吸えなかった。俺は泣いた。見終わったあと外に出て、死んだら素直に成仏しようと考えながらタバコに火をつけた。深く煙を吸い込んで改めて生きている喜びを味わった。

おお、一服つけてえ・・・